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東京地方裁判所 平成10年(ワ)23791号 判決 1999年3月25日

原告 新日本建設株式会社

右代表者代表取締役 南澤良治

右訴訟代理人弁護士 佐藤正八

被告 大成ロテック株式会社

右代表者代表取締役 三嶋希之

右訴訟代理人弁護士 横井弘明

主文

一  被告は、原告に対し、金四九四万五二〇〇円及びこれに対する平成一〇年一〇月二七日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

二  原告のその余の請求を棄却する。

三  訴訟費用は、これを四分し、その三を原告の負担とし、その余を被告の負担とする。

四  この判決は、原告勝訴部分に限り、仮に執行することができる。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、金二〇九五万八三二六円及びこれに対する平成一〇年一〇月二七日から支払済みまで年六分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は、被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

1  原告の請求を棄却する。

2  訴訟費用は、原告の負担とする。

第二当事者の主張

一  請求原因

1  当事者

原告は、体育施設工事の企画、設計、監理及び工事等を業とする株式会社であり、被告は、舗装工事等を業とする株式会社である。

2  請負契約

原告(請負人)は、平成九年四月一日ころ、被告(注文者)との間で、次のとおり請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結した。

(一) 工事名 池子米軍(八)運動施設(一工区)土木工事(以下「本件工事」という。)

(二) 工事場所 神奈川県逗子市池子地内

(三) 請負代金額 二億六七三三万円(消費税込み)

(四) 工期 着手日 平成九年四月一四日

完了日 平成一〇年二月二八日

3  工事施工と請負精算代金

原告は、本件請負契約に基づき工事を施工し、平成九年九月二五日現在被告に対し、二二八〇万八三二六円の請負精算代金債権(以下「本件代金」という。)を有した。

4  原告が自認する相殺

被告は、平成九年九月二五日、原告に対し、債権合計二二八〇万八三二六円でもって本件代金債務と対当額で相殺する旨の意思表示をなしたが、原告が認めるのは、被告が原告に対して有する手形債権分一八五万円(以下「原告自認債権」という。)である。

5  まとめ

よって、原告は、被告に対し、請負契約に基づき、請負代金二〇九五万八三二六円(消費税込み)及びこれに対する弁済期後である平成一〇年一〇月二七日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金の支払を求める。

二  請求原因に対する認否及び反論

請求原因1ないし3の事実は認める。

三  抗弁(相殺)

1  自働債権その1

原告は、原告が本件工事をするのに必要な材料、機械の代金や原告が契約上施工すべき工事代金につき、被告が請負代金を支払う際に相殺処理(いわゆる引き去り処理)することをあらかじめ承諾している。すなわち、土木業界では、元請会社が工事を下請に出す場合、下請負人の資力や資金調達能力に問題があるときに、本来下請負人の負担すべき材料費、機械リース料、工事代金の一部を立て替えることが慣行として行われている。

被告は、平成九年九月二五日までに、原告が本件工事をするのに必要な材料、機械の代金や原告が契約上施工すべき工事代金につき、原告の依頼を受けて、次のとおり合計八二八万一九四四円を立替払した(以下「本件立替払1」あるいは「自働債権1」という。)。

(一) 砕石他材料代金 七万三五〇〇円

(二) 丸釘他材料代金 二万三三二六円

(三) 丸棒他材料代金 一三万二六六八円

(四) 機械リース料 七九万六九五〇円

(五) 残土処理工他工事代金 四〇九万五〇〇〇円

(六) 運土工他工事代金 三一六万〇五〇〇円

2  自働債権その2

本件請負契約に適用のある専門工事請負契約約款(以下「本件約款」という。)三三条は、協力会社(本件では原告。以下原告で表示する。)が、工事の施工に関して、賃金、工事材料代金、工事用機器代金等の支払を遅滞し、または原告に支払停止等の事情が生じて、被告の被用者若しくは第三者に障害が生じまたはそのおれがあるときは、原告はすみやかに自己の費用と責任で解決する。原告がすみやかに適当な措置をとらないとき、または適当な措置をとる見込みがないと認められるときは、被告が立替払をするなど自らこれを解決することができる旨規定している。

被告は、平成九年九月二五日までに、本件工事にかかる原告の下請業者に対し、次のとおり合計七七三万一一八二円を立替払した(以下「本件立替払2」あるいは「自働債権2」という。)。

(一) 有限会社田附建設 四九九万三九二〇円

(二) 株式会社川嶋土木 二七三万七二六二円

3  相殺その1

被告は、平成九年九月二五日、原告に対し、自働債権1、2の合計一六〇一万三一二六円を含む債権総合計二二八〇万八三二六円でもって本件代金債務と対当額で相殺する旨の意思表示をなした(以下「本件相殺1」という。)。

4  自働債権その3

(一) 被告は、平成一〇年一二月一〇日現在、いずれも振出人原告、受取人株式会社ボー(以下「ボー」という。)、裏書人ボー、被裏書人白地で、金額八〇万円、満期平成九年九月二二日の約束手形と、金額九七万円、満期平成九年一二月二二日の約束手形(以下「本件各手形」という。)を所持していた。

(二) 被告は、平成九年九月二五日、ボーから左記(1)及び(2)の債権をボーに額面額を支払って譲り受けた(以下「本件債権譲渡」という。)。ボーは、平成一〇年一二月二日発送、そのころ原告代理人に到達した内容証明郵便により、本件債権譲渡の事実を通知した。

(1) ボーが平成九年八月二三日から同月三〇日にかけて原告に対して売り渡した緑色スクリーニングスの合計三一七万五二〇〇円の売買代金債権(以下「本件売掛金債権」という。)

(2) ボーが平成九年九月一〇日右代金の請求書を原告宛発送し、そのころ原告に到達したことに基づく商事法定利率年六分の割合による遅延損害金債権

5  相殺その2

被告は、平成一〇年一二月一〇日の本件第二回口頭弁論期日において、原告に対し、本件各手形債権一七七万円、本件売掛金債権三一七万五二〇〇円及びこれに対する平成九年一〇月一日から平成一〇年一二月九日までの遅延損害金債権(以下併せて「自働債権その3」という。)をもって、原告の本訴請求債権のうち、既に消滅した一六〇一万三一二六円以外のボーの分に相当する四九四万五二〇〇円及びこれに対する平成一〇年一〇月二七日から支払済みまでの遅延損害金と対当額で相殺する旨の意思表示をなした(以下「本件相殺2」という。)。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1第一段は争う。

同1第二段の事実中、被告の立替払の事実は不知。(一)ないし(六)の金額及びその根拠を争う。

2  抗弁2第一段の事実は認める。

同2第二段の事実は不知。

3  抗弁3の事実は認める。

4  同4(一)及び(二)の事実は不知。

五  本件相殺1及び2についての原告の主張

1  本件約款三三条の有効性

本件約款三三条は、いわゆる例文規定であって、無効である。現に原告代表者は、右条文を理解していなかった。

本件約款三三条は、強者である元請業者が弱者である下請業者に対し、著しい不利益を課すばかりでなく、倒産した原告の債権者間の公平を害する規定であって公序良俗に反する。

2  本件立替払2ないし本件相殺1の権利の濫用

被告が立替払したのは、被告の関係会社のみであって原告の他の下請業者七社らは全く立替払を受けていない。本件約款三三条は、被告の関係会社のみに立替払する規定ではないので、本件相殺1のうち、本件立替払2を自働債権とする部分は無効である。

仮にそうでなくても、被告の関係会社に対する立替払である本件立替払2は、著しく恣意的な支払であって権利の濫用である。また、原告は、公平かつ適正な私的整理を進めているところ、被告が自己の関係会社のみに立替払することは、原告が倒産に陥った場合に要請される権利者間の公平を破るものであるから、本件約款三三条を合理的に解釈すれば、被告の右へんぱ弁済は権利の濫用である。

3  本件相殺2の権利の濫用

私的整理が多数の債権者の同意のもとに公平適正に行われているのに対し、ごく一部の債権者が破産法一〇四条に該当するような不公平な相殺を主張している場合には、これを権利の濫用として効力を否定すべきである。被告は、ボーにつき従前の主張を撤回し、新たに本訴提起後約三か月も経過した時期に本件債権譲渡を受け、本件相殺2を行った。原告は、これまで私的整理を公平適正に処理してきている。したがって、本件相殺2は、権利の濫用というべきである。

六  被告の反論

1  本件約款三三条は、建設業法四一条二項、三項の趣旨に基づいて規定されたものであり、その有効性に疑問の余地はない。破産法一〇四条の相殺制限の規定がある破産の場合でも、本件約款三三条に基づく立替払による相殺が認められることにかんがみれば、本件のような私的整理の場合に相殺が有効なことは多言を要しない。

2  債権者間の按分平等が法的に要請されるのは破産の場合に限られ、本件のような私的整理の場合、このような要請はない。

3  私的整理について、破産法一〇四条が適用ないし準用されないことについては、争いがない。これは、倒産処理手続として法的整理によらないで私的整理を選択した以上、やむを得ないことである。そして、私的整理の場合に濫用事例として例外的に相殺が否定される場合があるとしても、右破産法が排斥することを狙いとした極めて悪質な場合に限定されるべきである。

本件相殺2の場合は、債務者の支払不能状態を利用して債権を安く買いたたいたような場合ではない。被告は、ボーを救済、支援するためにボーの有していた本件各手形債権や売買代金債権を額面額を基準にして譲り受けたものである。被告は、この支払によって不当な利益を取得したことはなく、本来支払うべき金銭を、倒産会社にではなく、救済のために取引先に支払ったにすぎず、被告の出捐総額に増減はない。取引先が倒産状態に陥ったとき、企業が企業自身の保身を図るだけでなく、グループ会社ないし協力関係にある会社の救済、支援を図ろうとすることは、目的において正当であり、明確に法律違反になる場合であれば格別、合法的な手段による限り、何ら非難されるべきではない。

なお、被告は、原告から第三者弁済の無効を前提(第三者弁済が原告の意思に反する旨の主張を含む。)に工事代金の請求を受け、本訴を提起されたことから、本件債権譲渡の通知、相殺の意思表示という手順を踏み直したものである。被告としては、確実に対抗し得る手続を取り直しただけで、この手続が遅れたからといって、何ら非難されるべきところはない。

第三証拠《省略》

理由

一  請求原因1ないし3の事実は当事者間に争いがない。

二  抗弁1について

1  《証拠省略》によれば、土木業界では、工事を元請が下請に出す場合、下請けの資力や資金調達能力に問題があるときには、本来下請の負担すべき材料費、機械リース料、工事代金の一部を立て替えることが慣行として行われているところ、本件請負契約の場合も、右慣行に従い、被告が原告に対し請負代金を支払う際には相殺処理(いわゆる引き去り処理)することが元々予定されており、原告が私的整理に入る前に、既に被告から原告に対しそのような引き去り処理の前提となる立替金の請求がなされていたことが認められる。したがって、原告につき私的整理が行われている中で、被告が原告に対し、原告のため立て替えた本件工事にかかる材料費、機械リース料、工事代金を自働債権として相殺することは、何ら問題がないというべきである。

2  《証拠省略》によれば、被告は、平成九年九月二五日までに、原告が本件工事をするのに必要な材料、機械の代金や原告が契約上施工すべき工事代金として、砕石他材料代金七万三五〇〇円、丸釘他材料代金二万三三二六円(ただし、被告は、原告に対する立替金請求後、被告の値引交渉により二万三一〇〇円に減額させているが、慣行に従い、立替金債権の減額はしないこととする。)、丸棒他材料代金一三万二六六八円、機械リース料七九万六九五〇円、残土処理工他工事代金四〇九万五〇〇〇円、運土工他工事代金三一六万〇五〇〇円、以上合計八二八万一九四四円の立替払い(=本件立替払1ないし自働債権1)が認められる。

三  抗弁2及びこれに対する原告の主張1について

1  法律に定めのある倒産処理手続でない私的整理(任意整理)には、破産法一〇四条(相殺の禁止)の規定の適用はない。しかも、下請の支払停止等の危機的状況時に、元請が下請に代わって、孫請に対し賃金、工事材料代金、工事用機器代金等の立替払をすることができる旨を規定する本件約款三三条は、そのような下請の支払停止等の危機状況下で、孫請の連鎖倒産を防いだり、孫請の労働者の賃金受給を確保してこれを保護したりする趣旨で定められたものと解されるから、社会政策的にみても必要性の高い規定である(なお、建設業法四一条二項、三項参照)。加えて、本件約款三七条一項は、原告に支払停止等があったときは、被告は、本件請負契約を解除することができる旨規定し、さらに、本件約款三一条一項、二項は、右の場合、原告は、被告に対する立替金等一切の債務の期限の利益を喪失し、被告は、原告に対して有する債権と原告に対して負担する債務とを相殺することができる旨規定しており、被告が立替払債権をもって請負代金債務と相殺できるという期待を有することにより、本件約款三三条の立替払を促進させているものと解することができる。そして、右のような相殺についての被告の期待は、合理的なものと評価することができる。そうすると、私的整理の場合、本件約款三三条が無効であるといえないのは勿論、被告が原告に対し、孫請のために立て替えた工事代金債権の立替金債権でもって相殺することが権利の濫用に該当するものとも認められないというべきである。

2  《証拠省略》によれば、被告は、原告が不渡りを発生させた平成九年九月二二日の後である同月二五日、本件工事にかかる原告の下請業者である有限会社田附建設に対し四九九万三九二〇円、株式会社川嶋土木に対し二七三万七二六二円、合計七七三万一一八二円を、いずれも右二社からの依頼を受けて立替払したこと(=本件立替払2ないし自働債権2)が認められる。

四  抗弁3の事実は当事者間に争いがない。そうすると、本件相殺1により、本訴請求にかかる請負代金債務は、自働債権1及び2の合計一六〇一万三一二六円と対当額で、相殺適状時である平成九年九月二五日(前記本件約款三一条一項、三七条一項により、原告は自働債権1及び2につき、平成九年九月二二日に期限の利益を喪失している。また、被告は、原告に対し、同月二四日付翌二五日到達の内容証明郵便にて本件請負契約を解除しているから、同月二五日には、本件代金債務の弁済期は到来している。したがって、両債権は、九月二五日に相殺適状にあった。)に遡って消滅したことになる。

五  抗弁4及びこれに対する原告の主張について

1  《証拠省略》によれば、原告は、平成九年九月二〇日に私的整理を開始し、債権者委員会を設置して、現在まで七回にわたり同委員会を開催していること、右債権者委員会では、毎回会社側の弁護士(原告代理人)、債権譲受人弁護士が出席し、退職金の支給割合や配当の方法等につき決議したり、工事代金回収・訴訟状況等の報告を行ったりするとともに、私的整理手続全般にわたって監視を続けていること、その結果、平成一〇年一一月一六日現在、業者については債権額にして七二・五パーセントの同意が得られ、同年八月までに従業員に対する給与や退職金の配当も終了し、一般債権者については、同年一二月の中間配当を行い、さらに平成一一年三月下旬には最後配当を実施する予定であること、ところで、ボーは、被告の子会社であり、かつ、原告の取引先であって、平成九年九月二五日現在、原告に対し、本件各手形と本件売掛金債権を有していたところ、同月二二日、原告が手形不渡りを出したため、右各債権が回収不能になる可能性が大となるものと認識したこと、そこで、ボーは、被告において原告に対する債務残があることを確認し、被告に対し、本件各手形を買い取り、本件売掛金債権を立替払して、子会社たるボーの財産保全をして欲しい旨依頼したこと、被告は、右依頼に応じ、同月二五日にボーに対し本件各手形の買取代金(ただし、満期前の利息を控除した金額)と本件売掛金債権の合計金額である四九四万一四〇〇円を振り込んで支払った(ただし、振込手数料分は控除)こと、なお、被告は、当初、ボーに立替払した債権として四九四万五二〇〇円(本件各手形の満期前利息を控除する前の金額)についても、本件相殺1の自働債権に含めて相殺の意思表示をしていたところ、右立替分のうち本件売掛金債権にかかる部分については、本件工事に関する原告の債務の立替払ではなく、本件約款三三条の適用範囲外のものであることから、右立替払につき、平成九年九月二五日に本件売掛金債権の額面額を支払ってボーから譲り受けたもの(=本件債権譲渡)と構成し直し、本件訴訟係属中の平成一〇年一二月二日発送、そのころ原告代理人に到達した内容証明郵便により、本件債権譲渡の事実を通知した上で、改めて、本件訴訟において、本件各手形債権とともに本件相殺2の意思表示をし直したこと、以上のとおり認められる。

2  ところで、私的整理について破産法一〇四条が適用ないし準用されないことは、前述のとおりである。しかしながら、私的整理が、多くの債権者の同意を得て、法的整理と同様に適正衡平に運営されている場合に、一部の債権者が債権者間の衡平を害するような相殺(破産法一〇四条に該当するものはその典型例)を主張することが、私的整理中の債務者に対し権利の濫用に該当するものとして、その効力が否定される場合もあるというべきである。これを本件についてみると、前記1の認定事実によれば、原告の私的整理は、法的整理に比肩すべき程度に適正かつ衡平に進められているものと評価することができるところ、被告とボーは、系列会社の関係にあり、原告が不渡りを出した直後に原告の危機的状況を認識しながら、被告が原告に対する債務を負担している点に着目し、当初から相殺を目的として、買取りないし立替払により、ボーの有する手形債権や売掛金債権を取得し、これを自働債権として即日本件代金債務と相殺に及び(本件相殺1)、なお、本件約款三三条の適用外の本件売掛金債権については、改めて債権譲渡の手続を踏んで、本件各手形債権ともども相殺をし直した(本件相殺2)ことが認められる。このような相殺は、適正衡平に進められている私的整理との関係で、一般債権者の犠牲において、被告が専ら系列会社ボーの利益のために債権回収を図るべく通謀して行ったものであって、被告が自働債権となる債権を額面額で買い取っている事実を考慮しても、一般債権者との関係では、債権者間の衡平を害すること著しく、権利の濫用として許されないものと評価するのが相当と思料される。したがって、本件相殺2はその効力を認めることはできないというべきである。

そうすると、被告は、原告に対し、本訴請求にかかる請負残代金のうち、本件相殺1により消滅した一六〇一万三一二六円を除いた部分である四九四万五二〇〇円及びこれに対する弁済期後である平成一〇年一〇月二七日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金を支払う義務があることになる。

六  むすび

よって、原告の請求は主文の限度で理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法六一条、六四条本文を、仮執行宣言につき同法二五九条一項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 徳岡由美子)

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